肩を落としてとぼとぼとゆっくり歩いている周翼。







──きっと、この辺りまで歩けば、もう西島先輩と吉井さんの姿は見えないだろうと立ち止まり、少し後ろを振り返った。






一刻も早く見えなくなるのを心のどこかで待ち望んでいたのかもしれない。







静かで、誰もいない道路。






この道路って、いつもこんなに静かだったっけーかな……。






ほんの少し前まで、俺の直ぐ側に吉井さんが普通にいたのに。






なんだろう、この虚しい感じと気持ち。







前から、何となくは感じていたけれど……、もしかしたら、吉井さんは西島先輩のことが好きなんじゃないかということ。






現実には絶対に起こってほしくなかったことが実際に目の前で起こることほど、本当に辛いものはない。





もしも、今自分が思っていることが大きな勘違いだったとしたら、どれほど嬉しいことか──。






吉井さんの性格だから、西島先輩に対する気持ちをきっと俺にずっと言いづらかったに違いない。





それに、好きな人の話なんて、そう誰にでも簡単に出来るわけでもないし。





現に、俺だって……。








俺だって、誰にも、話していない。







今日、俺が見た物が幻だったらと──、ただただ願う。