キーパーグローブを外しながらゆっくりと一歩ずつ前に進み、歩いている周翼。






──このグローブを外す瞬間、はりつめていた緊張感から一気に解き放たれた。







皆の熱い声援や視線が何よりも嬉しくも、プレッシャーに変わっていたのは確かだった。







ボールが飛んで来る度に頭の中が真っ白になるぐらい毎回凄く緊張をしていた。








──でも、西島先輩、……ごめん。







試合中、極度に緊張をしているはずなのに……







僕は、吉井さんのことが気になり、






時々ベンチに座っている吉井さんの姿を探して、見ていた。







なんだか、急に僕の側から吉井さんがいなくなるような気がして、たまらなくて──。







本当は完全に集中できていなかった。








シュートを4本止めることが出来たのは、きっと偶然と奇跡が重なったからかもしれない。








周翼の瞳に冷たいお絞りを差し出す掬恵の姿がうつる。