肩から重そうにさげている部活用の鞄の肩紐をギュッと握りしめて下をうつ向きながらせかせかと歩く周翼。
──西島先輩の隣にいたの、確か……吉井さんだった。
二人とも、楽しそうな雰囲気で会話をしていた。
何を話していたんだろう。
凄く気になる。
吉井さん、今日はいつもかけているはずの眼鏡をかけていなかったのはどうしてなんだろう。
長い前髪も今日は上げていた。
突然、オシャレに気を使い始めるっていうことは、きっと、何か理由があるはず。
もしかして──、
吉井さんの好きな人って……、
キャプテンの西島先輩?
今まで、お互いの好きな人の話とかあえて話題にも出なかったし、しなかった。
俺は、どうしたらいい?
もし、吉井さんが西島先輩を好きだったら……。
何を狼狽えているんだろう。
吉井さんの前で、普段通りの自分でいないとな……。



