映画の約束をした日曜日の朝。






真夏の熱い太陽が照りつけて、真っ青な空に綿菓子のような白い雲が形を変えながらゆっくりと時間をかけて流れていく。








掬恵があんなに気にしていた顔の出来物も嘘のように綺麗に治っていた。






掬恵の顔に笑顔が戻る。






じゃんけんに負けた時のあの約束、有言実行──。






掬恵は今まで一度も約束を破ったことがない。






近代的な建物の映画館前。







早朝過ぎて。




人通りが少ない。




8時45分の上映に間に合うようにと、余裕をみて8時15分現地集合になった。






待ち合わせの集合時間よりも5分早く到着をした掬恵、






何度も腕時計とにらめっこしながら周りを見渡し、周翼の姿を念入りに探す。







──まだ、坂口くんはいない。







坂口くんから昨日の夜に突然連絡があった。







服装は自由でも良かったはずが……、






「日曜日は必ず浴衣で!」、と言われた。







その理由を聞こうと思ったら、突然スマホがガチャッと切れた……。