そして、一番無難だろうと思う物を良く考えた末で選んだ掬恵。






きちんと正座をし直して、声に力が入る。







「坂口くん、決まったよ!」






「どれに、決めたの?」







掬恵が「これっ!」と決めた絵を指差す。






周翼と掬恵の視線が集まる。






掬恵は「映画館!ただし、ホラー映画以外という条件つきでお願い!」とペコッと頭を下げてお辞儀をし、そのあと瞬く間に周翼のスマホに視線を移しじっと見ている。







まるで、お預けを待っている犬のような掬恵。







語らずも掬恵から醸し出す雰囲気から悟った周翼は自分のスマホの画面が掬恵に良く見えるように傾け、掬恵の目の前であの写真の待ち受け画面を消去した。






「ほら、もう消したから──」






「ありがとう……」






さっそく映画に行く日程を決めようとする周翼。







「じゃあ、映画、いつ行く?明日の土曜日の朝いちばんは、大丈夫?」






「明日はダメ!愛猫の世話を両親が旅行から帰ってくるまで、私頼まれているから」