「うん」
──じゃんけんなら、私は絶対に自信がある。
掬恵がぎゅっと握りしめた拳に温かい息をふきかける。
絶対に、負けたくない!
「じゃんけん、ポン!」の掛け声と共に周翼と掬恵の勝敗が一瞬で決まる。
チョキを出した掬恵、アヒル口のままギョロッとした目付きで周翼の顔を見ている。
ムフフフッという笑いを必死にこらえている周翼。
周翼が出したのは、グウだった。
勝者は周翼!
「もう一回戦、追加!、もーう一回!ねぇ、ねぇ!ねぇー、お願い、お願いっ……」と両手をあわせて小さな子供のようにしつこく駄々をこねて、お願いをする掬恵。
「アハハハッ!駄目なものはダメッ!二人で決めたルールだからね」



