ソバージュの髪型を人に見られるのが慣れていないせいか、一人そわそわとしている掬恵。
「吉井さん、どうかしたの?」
「なんだか、坂口くんにずっと見られるのが落ち着かなくて……」
「はははっ──」と周翼が笑った。
「何がおかしいの?」
「明日、眼鏡を外してその髪型で学校へ行ったら、きっとクラスの皆、吉井さんって気づかないと思うよ。イメチェン、大成功だよ」
「そんなに、私、変わったの?」
「うん。物凄く変わった。でも、明日の髪型はもう“密編”ってズバリ決めてるんだよね」
周翼が笑いながら掬恵に聞く。
掬恵が申し訳なさそうに「う・うん……」と返事をした。
「そっかぁ。まあっ、いいよ!」と周翼が笑った。



