すると、周翼がにっこりと掬恵に優しく微笑む。
「お誕生日プレゼント、吉井さんに──。お誕生日、おめでとう!」
「えっ、……うそっ!?」
ビックリして、嬉しくて。
──この時、息が止まりそうなくらい本当に私は驚いた。
目を大きく見開いて、両手の指先を揃えて口元に当て、驚きの表情を隠せない様子の掬恵。
私のお誕生日を覚えていてくれているだけで、涙が出そうなぐらい嬉しいのに──。
配達員を装う演出に、雨に濡れて私にわざわざお誕生日プレゼントを届けに来てくれて、……もうこれだけで私は十分に幸せすぎる……。
一人ぼっちだと思ったお誕生日、学校でいっつも隣の席の坂口くんが今私の側にいてくれている。
不思議だね、お誕生日が一緒の二人が今ここに一緒にいるなんて。
神様がもしかして仕組んだのかな。



