君だけに、そっとI love you.





掬恵が右へ左へと忙しそうに動き始める。





散乱しているキッチンを綺麗に片付けて、出来上がったバースデーケーキは冷蔵庫へ入れて冷やす、夜一人で食べる為に備えるためだった。






掬恵は、蒸し暑いお昼にのど越しの良いものが食べたくなり。






昼食として三把の素麺を湯がき、冷たい麺つゆを片手にペロッと食べ尽くした。






「ちょっと、食べ過ぎたかもー!」、と膨れたお腹を時計回りに手でさすり、半分に折り曲げた座布団を枕にそのまますやすやと掬恵は眠りについた。






少し眠るつもりが気づけばもう4時間も熟睡をしていた。






寝起きの掬恵、トロンとした目付きで外を眺める。







ひぐらしの蝉の鳴く声が近くから聞こえる。







明るかった空は灰色に変わり、雷が鳴り始め小雨が降ってきていた。






その時、玄関のインターホンが鳴る。







──天気が悪いのに、いったい誰だろう?






「はい?」





「お届け物です。すみませんが、サインか印鑑をお願いします!」






なんだ、配達員の人か。