じょ、冗談じゃないわよ。
──手を上げて、『先生!即、席替えを希望します!』とすぐに言いたかった。
周翼がちらちらと掬恵の顔を見ている。
「……信じた?今のウソなんだけど。冗談のつもりだった」
「えっ……・……」
瞬間凍結した掬恵。
坂口くんの冗談キツすぎる。
真顔で言うから、つい本当かと……思ってしまった。
これは、やられた………。
周翼が疲れた表情をしながら小さな声で話を続ける。
「本当は、雀が可愛過ぎて見てたんだ。電線に雀が五羽並んだら……。教室を抜け出そうかと思ってた」
「教室を抜け出す……。どうして、そんな事を!?」
「──だって、つまらなくない?時間がもったいないよ。こんな所にいるより、行きたい所が沢山あるんだ」
「ふーん」
……沢山あるんだ。