「吉井さん、今日はずっと家にいるの?」
「うん。一人って意外と家でゆっくりと出来るものだと思っていたけれど、そうでもないんだね。なんだか、ぼっち誕生日って、ちょっと寂しいかも。アハハハッ」
わざと明るく繕う掬恵。
その時、周翼のスマホが充電を要求する音が鳴り始める。
「ごめん、ちょっと、切れてしまうかも………」
「あっ、………うん」
周翼のスマホが切れた虚しい音が掬恵の耳の中に響く。
――坂口くんと私は誕生日が一緒。
だから、私は………
坂口くんに「お誕生日、おめでとう!」という言葉だけを最後に少しだけ伝えたかった。
坂口くんのスマホのイジワル。
もう少し電池が残っていたら、伝えられたのに。
まぁっ、いいかーー。
また、学校で会った時に私の方から伝えたら良いことだしね。
で、なんで坂口くんは私に電話を掛けてきたんだっけ?



