──私の相棒……、長年愛用しているこの眼鏡。
可哀想に……、白い粉をたくさん被ったね。
相棒、君がいないと私はこのバースデーケーキの続きを作ることができないんだよ。
眼鏡に付いている白い粉にふっーと優しく息を吹きかけて飛ばし。
台拭きで粉だらけになった自分の顔をささっと綺麗に拭く。
そして、再び眼鏡を掛けなおし、バースデーケーキ作りの続きに専念をしようとする掬恵。
時々困った顔つきでアヒル口になり、腰を屈めて生クリームを塗り、悪戦苦闘をしながらケーキ作りもついに終盤を迎えようとしていた。
ケーキ作りは、まあセンスがあるとは言えないが……、何とか形になった。
出来上がったケーキをじっと眺め、嬉しくなりニヤッと笑う掬恵。
と、その時、掬恵のスマホが鳴り着信を知らせる。
「っん、誰からだろう?」とスマホを手に取る。
着信は坂口くんからだった。
坂口くんの方から連絡があるなんて、本当に珍しい。
なんだろう、なんだろう?
クラブのことかな……?



