静かすぎるのが妙に嫌になり、掬恵が音量押さえぎみで鼻歌を歌う。
自分自身に送る、音程もリズムもバラバラのハッピーバースデーの曲。
さぁ、バースデーケーキ作りだ!
気合いを入れる掬恵。
目一杯両手に力を入れて、ホットケーキの素が入っているビニールの袋を開けようとした時、勢い良く白い粉がドバッと宙に舞い上がり掬恵の顔にかかった。
掬恵の視界が急に真っ白な色に変わる。
なっ、何……?
私の周りだけ、真冬じゃないよね?
目を瞑り首をブンブンと何度も横に振る掬恵。
そんな訳がない!
ホットケーキの素の白い粉が少し口の中に入りブハッと噎せる掬恵。
私としたことが、なんといった、失態だ………。
情けないっ。
白い粉が被った眼鏡をゆっくりと外す掬恵。
戸棚のガラスに映った自分の顔を見て思わず吹き出す掬恵。
わぁっ、誰なの!?、コレ……!?
紛れもない私、吉井 掬恵の姿だ。
わざと不気味な笑顔を静かに浮かべる掬恵。



