隣の坂口くんが笑いもせずにじっと私を見ている。
「良かったんじゃない?皆に顔をしっかりと覚えてもらえて──」
フォローなのか?、皮肉なのか。
返事に困り。
結局、私は泣きそう顔をしながら坂口くんに「ありがとう!」と言った。
少し俯いて嬉しそうに笑う周翼。
──ついでだから、坂口くんに聞いてみた。
「ねぇ、どうして、さっき電線にとまっていた雀を数えていたの?」
周翼が掬恵に振り向く。
「ああ。どうしてって……。俺の家はお寺で肉系は一切食べさせてもらえないんだ、だから美味しそうな雀がいるなと思って数えていたわけ」
そんな話を聞いて表情が凍りつき、顔をひきつって、ぎょっとしている掬恵。
「えっ、うそでしょ……!?」