掬恵は心の中でガッツポーズを取り、玄関の内側からゆっくりと鍵を閉めた。
誰も、入って来ないように──。
両親が私の為に用意をしてくれたお誕生日プレゼント、私は奈良へは行かない──。
もう、決めたんだ。
ごめんね、お父さん、お母さん。
お母さんから、前に一度だけ新婚旅行に行ったことがないという話を聞いたことがあった。
両親が駅にそろそろ着いたであろう時間を見計らい、掬恵が母親に電話を掛けた。
「もしもし、お母さん……?」
「掬恵、何をしてるの?ずっと、お父さんと一緒に駅で待ってるのよ!」
「私、今日は旅行には、行かない……」
「はぁあ……!?」
突飛もない娘の言葉に驚く掬恵の母親。
「今回は、お父さんとお母さんの新婚旅行のかわりになるか分からないけれど……、二人きりでのんびりしてきてよ。私を生んでくれて、本当に二人に感謝をしてる……。ありがとう──」
私から両親への感謝の気持ち。
きちんと伝えられたかな。



