それから、診察代のお釣りを今日の学校のお昼代にと母親から小銭を幾つかもらった。






「お母さん……、ありがとう」







母親はその後スタスタと歩いて家に戻り。






私は小銭を握りしめて学校へゆっくり向かう。






足取りも気分も重い──。





学校に行きたくない……。





心の中で助けて欲しくて、誰かの名前を叫んだ。







──坂口くん!





坂口 周翼くん!







坂口くんの背中をもう一度私に貸して下さい!







──ちょうどその頃、学校の教室にいる周翼。






電線に止まっている雀を数えながら大きなくしゃみを一つしていた。