病院を出ようとしたら、ばたりと東先生のお父さんに出会った。





東先生のお父さんは病院の建物の周りに植えてある花の手入れを丁度しているところだった。






すると、私の母親が昔私がお世話になった時の話を思い出し大きな声で話し始める。






──そう、オムツ被れで酷かった私のお尻の話を……。






間が悪く、東 隆弘先生が外へ出てきて話に参加をし始める。






「……あぁ、その話は昔父親から聞いたことがあります。オムツ被れが酷かった赤ちゃんが、掬恵さんだったんですね──」と、東先生が掬恵の顔を見た。





恥ずかしくて思わず目線を反らす掬恵。






こんな所で何も私のお尻の話しで盛り上がらなくても……。





しばらくして、ようやく切りの良い所で話が終わった。





はあっー、と溜め息をつく掬恵。






「お大事に!」と東先生が手を振りながら病院に戻っていく。






軽く会釈だけはしたけれど、今度あわせる顔が全くない……。