頬杖を付きながら窓側の席に座っている坂口くん、さっきから薄い水色の空ばっかり眺めている。
──何か珍しい物でもあるの?
坂口くんの顔をじっと見ていると、本人と目が合ってしまった。
何ともいえないような、妙な感じのドキドキ。
胸の辺りがザワザワしている。
キョロキョロと目を動かして落ち着かない掬恵。
私、坂口くんのことなんか、全然、いやこれっぽっちもずっと見ていませんでしたからね……。
思わず眼鏡の縁に指を軽く当ててうろたえながら視線を反らす私。
「俺の顔に、ハナクソでもついてた……?」
坂口くんの弱々しい声量が私の耳の中の鼓膜に届いた。
??何──、ハナクソ……。
お互い初対面なのに、さっそくハナクソの話?
お、女の子に、そっそんな恥ずかしい事を戸惑いも無く普通に聞くの──!?