君だけに、そっとI love you.




その時、掬恵の机に白い色の付箋が一枚ペタリと貼り付けられた、周翼からだった。





――【大丈夫?色々と聞こえるけれど、気にしたら僕達の負けだから。】





声を出さずに頷き「あ・り・が・と・う」と口だけを動かして苦笑いをする掬恵。




少し俯いて照れくさそうに笑った坂口くんが頬杖をつきながら何も書かれていない黒板を暫くぼっーと眺めた後、静かに目を閉じた。




こんな状態の時に、慌てず平然とした様子の静かな坂口くん。





まるで、堂々たる姿は仏像のようにさえ見える。






やっぱり、家がお寺ということもあり……、今、坂口くんはきっと雑念を払い瞑想をしているのに違いない。





そんな坂口くんの姿をずっと側で私は見ていた。






考えれば、普段から私の頭の中は雑念だらけだった。






何か嫌なことが聞こえてきたとしても、直ぐさま空っぽにしてしまうことが出来たらどんなに楽だろう。