「奈留サン…？これ、一体どういうこと？」




高山が笑顔のまま私に問いただす。




…ひどく怒っているようだった。




「その…私、料理は壊滅的で…」





「本当だよねぇ？ていうかもう壊滅してるよね？これ。」






そう言い高山が指差すのは大きさがバラバラの残念な野菜たち。





「ご、ごめんなさい…」





「あのさぁ。こんな大きさの野菜とか食べられないんだけど？」






「ちょっと高山！言い過ぎじゃない？」





間に雛が入ってくれるが…





「ちょっと黙っててくれる？」





という高山の言葉でねじ伏せられてしまった。









…そんな時だった。





「…俺は普通に食べられる。」





そう言い岬は大きな野菜を一口で食べた。





…だいぶ無理してると思うのだが。





「たかが大きさの問題だろ？味に支障はない。」





いつもの声の調子。





目だって合わせてくれてないし。





…でも。




私は岬が私のことをかばってくれた…その事実が嬉しくて。




顔のにやけが止まらなくなってしまった。








「…でさぁ。槙谷はなんで笑ってるわけ？」





いきなり話しかけられる私。




気づけば岬が私の方を見ていた。




…久しぶりの岬の目。




「え、ご、ごめんなさい…」





謝ってはみるがやっぱり顔のにやけはおさまらない。







「槙谷ってば本当にバカ。」




そう言う岬の顔はほころんでいた。





そんな岬を見てかぁっと頬を紅潮させる私だった。