新学期の頃には大抵桜は散りかけていて。


あれは、いつのことだったか。


授業中、少し空いた窓から桜の花びらがひらひらと舞い降りてきて。


勿論、授業に集中していない俺は、その花びらを何となく目で追った。


薄いピンク色のそれは、道筋を知られては困るかのように、不規則にひらひらとしていて。


俺の頭……をかすめて、後ろにいってしまった。


思わず振り返ると、そこには


すやすやと眠る藤浦さん。


さすがの俺でも新学期早々、そんなに爆睡出来ませんよ、ってくらい。


気持ち良さそうにすやすやと。


ひらひら、ひらひら。


桜の花びらは、そこに降りると決めていたかのように、藤浦さんのまつげに着地した。