でも。


そんなこと言ってる場合じゃないんだ。


俺は、呆気に取られているわこちゃんとバイトの子に、


「心臓が痛いから早退してもいいですか」


力強く言ってみた。


嘘じゃない。


心臓が痛いのは、嘘じゃないし。


「早く病院いってくださーい!」


キッチンから声がする。


「じゃ!」


と、言い残して、キッチンへ向かう。


ランチの注文が落ち着いたためか、やっさんの両手は、空いていて。


「おネエを出せって言われたら今日は俺が出るんで大丈夫っす」


「マジか」


「……嘘っす。でも、人生には頑張らなきゃいけないビックウェーブ、三回来るらしいんで……行った方がいいっす」


「……俺、初めてかも……」


「どんだけ人生なめてんスか。俺、年1くらいできますよ、ウェーブ」