「遥流、上がっていいわよ」


ふいに後ろから声を掛けられる。


ゆりあが、″お店に立つバージョン″の地味めなメイク(十分ケバい域に達しているけど)で立っていた。


「あれ?ゆり……店長、今日シフト入ってましたっけ?」


「そんな酷い声の人、出しといたらあたしがアンタのファンに怒られそう」


「……へ?」


「さっき、別の用事でここに電話したら、バイトちゃんが、遥流が調子悪そうだったーとか言ってて」


……ゆりあ!!優しいじゃねーか……。


今までババアとかこっそり思っててごめん……。

「使えない状態の人に給料払うのもの勿体ないしねぇ……」


……くそババア。