…気づけば俺の部屋の中は、あの女で埋まっていた。

見渡す限りの穴という穴には、

真っ白な服で長い黒髪を垂らした女、女、女。

俺は会社を辞めた。

今はこの、得体の知れない女との生活が幸せだ。

女が穴から出てくることはない。

会話があるわけでもない。

しかし、あの日俺が埋めて欲しいと強く願った心の穴は

今、確かにあの女で埋め尽くされている。







end