不器用な私たちの不器用な恋

私はおとなしく、次の電車に乗って例のたこあしステーションに到着した。



いつもなら、弥生と由子が改札口の右に丁度よくある柱のところでまってくれているが、さすが今日は私をみかねて先に行ってしまったようだ。



まあ、さっきラインで今日は遅れそうって送ったから妥当なんだけど。



私は、高校まで一直線に駆ける。



まわりを見れば、他にも何人かうちの高校の制服を着て走ってる人がいる。



この人たちはいつもギリギリを狙ってるのかななんて上の空になって、私は段差に気づかずにつまずいてしまった。



こんな時に、泣き面に蜂じゃないか。



おもむろに立ち上がろうとしたその時、「だいじょうぶ?」と後ろから声がした。



それは、紛れもなく男の声だった。



振り替えってみると同じクラスの男だった。



顔は見覚えあるが、名前は出てこない。



なんせ、普段から男とはあまり話さないので顔と名前が一致しないのだ。



「立てる?」



そう言って男が手をさしのべてくる。



自分の力で立てそうにはなかったので男に甘えることにして手を貸してもらった。



男と手が触れた瞬間、なんだろう、ドキッとした。



異性に手を握られるなど、今日が初めてかもしれない。


「血でてるよ。これ使いな」



そう言って男はハンカチを差し出した。



私だってハンカチくらい持ってるのにと思いつつハンカチを受けとる。



「悪いけど、遅刻しそうだから俺は先に行くよ。お大事に」



そう言って男は去っていった。



なんだろう、今の。と思う間もなく、無理をおして学校までなんとか走った。



結果、体感コンマレベルでギリギリセーフだった。