さっき試合終わって疲れているはずなのに。



階段を1こ飛ばしで駆け上がりながらかなえは思う。



なんでこんなに走れちゃうんだろう。



観客席のドアを開けるとちょっと離れたところに大渕くんがいたわ、


「ーーーあの!!」


振り返った大渕くんはびっくりしていて。



そりゃそうだよな。さっきまで下にいたんだもの。




話しかけたはいいけど、次の言葉なんて考えてない。



すると先に、



「優勝おめでとう。」



大渕が笑顔で言ってくれた。




「あ、ありがとう。
見ててくれて。」



ん、と言って照れ臭そうに目をそらす大渕くん。



とくん。



「あの…、はじめましてなのにこんなこと言うのおかしいけど、友達になってくれませんか!!」



あれ、あたし今すごいこと言わなかった?


「え…?」




「あ!いや!全然嫌だったらいいんだけど!
あたし、大渕くんのプレーとかすごく尊敬してて、かっこいいなぁーって思ってて…うわぁ!こんなのキモいね!忘れて!!」



こんなにあたし話すの苦手だったっけ。



頭の中真っ白で自分でも何言ってんのかわかんない。



「やっべ。嬉しー…。」



「え…?」


「いいよ、友達。
てか、こちらこそお願いしますだわ。」



う…うそ!!



「え、いいの?」



「俺も話してみたいなと思ってたからお互い様。」



にやっと笑って言う。




「メアド交換したいんだけど携帯ある?」



「あ、うん!!」