――

1度に何もかも詰め込むのは、余裕がない証かと詩月は思う。

師匠からの叱責で、気が滅入っているのを悟られまいと、詩月はテンションを上げたつもりだった。


――何かあった?


郁子からの返信に、不味いと舌打ちする。


――ちょっとな、師匠に叱られてね。
全身が刀剣みたいな人だからな


詩月は茶化すようにメールを送る。


――でも、周桜くんは斬り倒されていないんでしょ!?
反撃して刀剣を弾き飛ばすんでしょ!?


詩月は郁子の返信を読みながら、穏やかに笑っている郁子の姿を思い浮かべる。

折れていた心、沈んでいた気持ちを「そうだ」と切り替え、詩月はメールを返す。


――当たり前、倍返しだ



遠くウィーンにまで来た目的を詩月は今一度、新たにする。


反撃――上手いことを言うと、メールを読み返し思う。