凛とした詩月の声の響きに、宗月は振り返り、詩月の顔を見る。
「あのピアニストをどう立ち直らせるか、腕の見せ処だな」
宗月は詩月の顔をまじまじ見つめ、口角を微かに上げ、エィリッヒを促し立ち上がる。
詩月はピアノに向かい、背筋を伸ばし姿勢を正す。
「緒方、最初からだ。ミスは一切気にするな。何も考えるな。黙ってついてこい」
詩月のいつになく険しい声に、郁子の胸が跳ねる。
「気づいているはずだ。君の手元にある楽譜だけでは曲が未完成だ」
――周桜くん!?
戸惑った表情の郁子が画面に映る。
「緒方、曲を完成させる。今が限界という自分自身の壁を破れ」
スッとシャツとジャケットの袖を肘まで捲り上げ、詩月は指を構える。
「緒方、思い切り弾け。君の本気で挑め」
詩月はそう言って優しく微笑み、曲を弾き始める。
「あのピアニストをどう立ち直らせるか、腕の見せ処だな」
宗月は詩月の顔をまじまじ見つめ、口角を微かに上げ、エィリッヒを促し立ち上がる。
詩月はピアノに向かい、背筋を伸ばし姿勢を正す。
「緒方、最初からだ。ミスは一切気にするな。何も考えるな。黙ってついてこい」
詩月のいつになく険しい声に、郁子の胸が跳ねる。
「気づいているはずだ。君の手元にある楽譜だけでは曲が未完成だ」
――周桜くん!?
戸惑った表情の郁子が画面に映る。
「緒方、曲を完成させる。今が限界という自分自身の壁を破れ」
スッとシャツとジャケットの袖を肘まで捲り上げ、詩月は指を構える。
「緒方、思い切り弾け。君の本気で挑め」
詩月はそう言って優しく微笑み、曲を弾き始める。



