_______翌日、昼休み・教室にて

ようやく昼休み。

活気付いた教室に私はいた。

「はぁー、お腹空いた。」

早く購買行かないとパンが売り切れる。

机にかけられた鞄から財布を取り出そうとした時だった。

「藤咲ー、高坂が呼んでるぞ。」

ひとりの男子が教室の入り口付近で手招いている。

え、

今、高坂って言った?

「えっ、今行く!」

「お、おう。」

私はガタッと大袈裟に立ち上がり、急いで私を呼ぶ主の元へ向かった。

そこには、

目をひく程の高長身。

中性的な顔立ちで、黒縁メガネの男が立っていた。

こいつの気を引かないといけないのか。

優愛のために。

「何?」

しまった!

色々考えていたら思わず無愛想な言い方をしてしまった。

しかし、高坂はまるで気にしていない様子で。

「今日の放課後、臨時の図書委員会あるから。
ホームルーム終わったら図書室な。」

…まじか。

ついてるんだか、ないんだか。

でもこれって少しでも近づくチャンスだよね。

「ん、わかった。」

「じゃあ、放課後な。」

そう言うと、くるりと向きを変えて行ってしまった。

私は高坂の後ろ姿をじっと見ていた。

別にあいつを好きになった訳じゃない。

なにかあった訳でもない。

でも私の中で、

恋ってこういうものなんだ。

という新しい感情が生まれた気がした。