数十分。

私は動けずにいた。

いや、動かなかった。

どこかで高坂が探しに来てくれるんじゃないかって、ありもしない期待をしてたから。

でもそれもただの私の願望。

高坂はなかなか現れてくれない。

雨は相変わらず私を濡らす。

その優しく降りつける雨が、私を一層惨めにさせた。

暗い空、雨、人混み。

もう皆帰ってしまったのだろうか。

別におかしいことじゃないじゃないか。

むしろそう考えるのが普通だ。

「私も帰ろう。」

大丈夫、高坂はきっと探してくれた。

ただ見つからなかっただけ。

そう自分に言い聞かせて立ち上がる。

またワンピースを整えて竹林の中を通る小路に出ようとした時、

心臓を貫くような、

そんな衝撃が私の心を打った。