「な、何してんの!!!!」
パッと離れて、軽く両手で突き放す私。
「何って、藤咲が飛び込んで来たんじゃん。俺は悪くないよ。」
「別に飛び込んだ訳じゃ無いし!」
「はいはい。わかったから怒んなって。」
「怒ってないし!」
そんなこんなでまた始まる、くだらない言い争い。
いつも通りだ、良かった。
「あっ、お二人さんもう来とったんか!未来ちゃんのせいで遅くなってしもたわ。すまんすまん。」
そんな時、人混みからひょっこり現れた茶髪。
「私のせいじゃないってば!
待たせてごめんねー。」
と、ツインテール。
未来は、花をいっぱいあしらったピンクの可愛らしい浴衣姿だった。
だよね。
やっぱり浴衣だよね。
「あ、三郷浴衣なんだ。
浴衣っていいよね。風流で。」
高坂が眼鏡をかけ直して言う。
なんだかちょっと嬉しそうで。
ああ、もう最悪だ。
「浴衣じゃなくて悪かったね!!!」
ぷいっと顔を背けた。
どうせ女子力無いですよ!
どうせ私なんて。
「いや、
似合ってるよ。ワンピース。それに俺水色好きなんだ。」
私の様子を見た彼は、そう言ってにっこり笑ってくれた。
「…ありがと。」
彼なりの不器用な誉め言葉。
それがどんなに嬉しいか。
あなたは知らないんでしょうね。

