おぼつく足でようやく自分の教室に戻ってきた私は、自分の幼稚さにため息をついた。

「高校生のカレカノで、あれは普通だって…。」

いや、別に私だって全然知らない人達だったらなんとも思わないよ。

でもそれが小学校の頃から一緒だった親友だったら、ねえ?

私は鞄を探ってストラップのぬいぐるみを引っ張り出す。

それにくっついてきたスマホを手に取り、慣れた手つきでメールを送る。

『日直まだ終わんないの?早く帰ろうよ!後5分して来なかったら帰る』

宛先は優愛。

何気なく携帯の時計を見ると18時07分。

本当に時間たってないんだなあ。

ブーブー…ブーブー…

優愛だ。

意外と返信速いな。

私、邪魔してないよね。

『今行く!』

絵文字もなにもないメールが来てから数分後、優愛が走ってきた。

「ごめんごめん、仕事多くてさー。」

笑って嘘つく優愛。

まあそりゃ「彼氏とキスしてて遅くなりました。」なんていえないよね。

「いいよいいよ、早く帰ろー。」

そう言って乱暴に携帯を鞄に突っ込み、廊下に出たとき

E組教室から出てきた高坂と目があった

気がした。