____放課後、

キーンコーンカーンコーン…

「はい、HR終了!お前ら夏休み中事故るなよー。」

HRTがパタンと分厚いファイルを閉じ、生徒たちは放課後に入った。

私は夏休みの話題で盛り上がるクラスメイトをかきわけかきわけ、

E組の教室に向かった。

高坂を迎えに行くために。

「高坂君居ますか!?」

教室についた瞬間勢いよく呼びかけた私に、一瞬注目が集まる。

でも、私は気にせずぐるりと教室を見渡した。

…だがその中に、私が探していた人物は居なかった。

「まあどうせ中庭で会うし…。」

「あっ、あのっ」

諦めて振り返ろうとした時、一人の女子が私を呼び止めた。

「高坂君ならさっき2つ結びの女の子が呼びに来て、一緒に出ていきましたよ。」

_2つ結びの女の子。

未来。

私の脳内で、未来がくすくすと笑った。

高坂は渡さないわ、と私を嘲笑うように。

でも、きっと未来はそんなこと微塵も思ってないのだろう。

純粋に高坂が好きなだけ。

それなのに、こんな風に思ってしまう自分に嫌気が差した。

私って、最低。

「ありがと!」

私は女子生徒にお礼を言い、中庭へと走った。

二人きりにしたくない。

その一心が私を走らせた。

すれちがう先生が私を注意する声が聞こえるが、そんなんどうでもいい。

私の中は、高坂への想いでいっぱいだった。