おかしい。
前に進めない。
「せっかくだし、一緒に行こうよ。」
手首に違和感を感じ、視線を落とすと
男かと疑ってしまうほど真っ白な腕に、しっかりと握られていた。
「っ!!」
恥ずかしいけれど、
私は高校生になった今でも男に触れられることもなく
ましてや恋愛すらしてこなかった。
普通の女子高校生からしたら、手を握るなどなんてことない事なのかもしれない。
でも私にとっては、
重大なことなのだ。
「わかったから!手、離して。」
「手?あ、ごめん。」
それなのに、こいつは無意識なのか。
今気づいた、とでも言わんばかりの反応。
まったくもう。
「ばか。」
無意識にこぼれた言葉。
「あ、藤咲やっと笑った。」
私を見つめていた高坂が、目を細めて微笑んだ。
「え?」
口元に手を当ててみる、
僅かに緩んだ口元。
なんで、
なんで私笑ってんだろ。
なんかわかんないけど、
楽しい。
__これが恋心というものなのだと気づくのは、もう少し後のお話である。

