放課後の誰もいない教室、私はいつものように友人を待っていた。

ゆらゆらと揺れる夕日が教室のカーテンを橙色に染める。

午後6時。

腕時計を確認した私はため息をついた。

「優愛(ユア)遅いなあ。」

日直の仕事があるから待っててって言われてから約2時間。

ケータイゲームで暇を潰していたがそろそろ帰りたい。

私はスマホの電源を切って、鞄を拾い上げた。

「教室覗いてまだ終わらなそうだったら帰ろう…。」

アニメの録画観たいし。

私は乱れた制服を直して、長い廊下に出た。

私は2のB、優愛は2のE。

間にC組とD組を挟む他、視聴覚室やらランチルームやらを挟むからその距離は遠い。

私はそれらの教室を素通りして、一直線にE組教室に向かう。

誰も居ない廊下。広がる静寂。

…。

私は違和感を感じた。

…静かすぎるんだ。

優愛の教室に近づいても変わらぬ静けさ。

日直は男女だから優愛の他にもいるはずだ。

なのに会話が不思議な程聞こえない。

どんだけ仲悪いんだよ。

微かに教室から廊下に漏れる橙色が揺れる。

E組教室に着いた私は扉に手をかけた。

「…え。」

ガラス越しに目の前に飛び込んできた光景に、私は目を疑った。