* 「デラボアからお電話がありました。 携帯につながらないからと」 出先から戻ると秘書のフレッドが早々に言った。 そういえば何回か着信が残っていたが、面倒で掛け直していなかった。 「わかった」 怜士が折り返すつもりがないのを見抜いて、一番新しい秘書のニコラスがうなり声をあげる。 「ボス。 折り返してくださいよ。 じゃないと、うるさくって。 僕たちが怒られるんですからね」 怜士は片眉を上げて、ケビンから差し出された書類を受け取る。