「はい」 無意識で日本語で答えてしまい、顔をしかめて言いなおした。 もう一人の秘書フレッドからだ。 予定が変更になり、このまま直接、先方へ出向くことになったらしい。 流れるNYの景色をただ眺める。 あの時のこの季節、ハート形のせんべいをもらった。 義理!と叫ばれて。 今。 彼女はどうしているのだろうか。 誰かに差し出しているだろうか。 今度は“義理”と叫ばずに。