そっちの方が近そうで、怜士は苦笑をもらす。
いまだに忘れていないことを。
忘れられない怜士に対する冷笑。
パーティーや会食などの同伴を、日替わりメニューのように回し、特定な人物を作らないのは、ただそのケアが面倒なだけ。
電話、贈り物、デート・・・。
そんなことに気を遣う気力が湧かない。
ベッドだけの数時間で十分だ。
だが彼女たちは“特定の地位”を狙って、あれこれと攻めてくる。
そして日々、ハードさを増す仕事と、詰め込まれるあらゆる種類のパーティに、ストレスが溜まり始めていた。
「30分。
空けてくれないか?」
秘書のケビンは、にっこりと笑った。
「無理でしょ」
怜士はいらっとして片眉を上げた。

