アイーシャは遠ざかっていくさやかの後姿を見つめて、更に口の両端を持ち上げた。 全てはダバリード帝国のために。 「そろそろ潮時ね」 アイーシャーは後ろのテーブル席へ言葉を放つ。 ほとんど同じ顔の男二人がサングラスを外した。 「ラジャ」 一人は小さく呟き、もう一人は少しだけ笑った。 <緊急速報> 「ダバリード夫妻を載せたクルーザーがカリブ海沖にて爆発した模様。 夫妻の生死はいまだ不明」