もう一度、胸の中で礼を言う。 鷹乃介といい、食べることが一番の慰めになると思われている節があるが、事実だから甘えておく。 車は街路樹のトンネルの中を走り抜けていた。 風が強いらしく、黄金に色づいた葉が雨のように降り注ぐ。 樹から落ちた葉がフロントガラスに当たっては流れていった。 一つの季節が終わろうとしている。 まだ涙は落ちるが、麗華は口元に淡い微笑を作り、受け止めるように見つめていた。