「あの隣にいるのが、正妻だとするだろ。
 そしたら最前列で囲んでいるのは側室。
 更に取り囲んでいるのにも、何人かは手がつている。
 麗華、女の戦いをのし上がっていくタイプじゃないだろ。
 どっちかというと、“うわっやめたっ”て逃げるタイプ」


麗華の口調を真似てみせる。


「うん、そうなんだけどね」


罰の悪そうな笑いを浮かべて、もう一度、輪の中心を見る。


遠いなあ。


「まあ、砕けないとな」


幼馴染の声で麗華は振り返った。


「美和。
 遅いじゃない。
 ピナちゃんは?」


美和も恋人の雛と一緒に来ることになっていた。