「ダメだから」
「わかってるって。
 もちろん、麗華の方が大事だからね」
「ありがと」


麗華は上の空でかえした。


怜士の隣には、今夜のパートナーらしき女性がいるのにも関わらず、幾人も取り囲んで気の利いた会話で怜士の気を
引こうとしている。


見えない火花が散っていて、遠目では優雅な様子なのだが、水面下は殺伐としている。


更に、取り囲んでいる女性と一緒に来た男性たちは、輪の外で忌々しげだ。


とにかく雰囲気がよろしくない。


毎回、こんなんで良く疲れないものだ。