怜士は片手をスラックスのポケットにいれ、前面ガラス張りの窓の前に立っていた。 あの曲を聴いた後だからか、その背に苦しみが漂っているようにみえる。 横顔が見える位置まで近づいた。 だが怜士は何の反応も示さず、窓の外を見たままだった。 「Goを出しておいてくれ」 突然、怜士はそれだけを言った。 「わかりました」 しばし無表情なままの横顔をみつめていた。