Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪



     *


ニコラスが執務室から出てきた。


「いや~、なんか。
機嫌、やっぱり悪いんですか、ね」


ケビンは机から視線を上げて、鼻で笑った。


「何か言われたんですか?」


フレッドが仕上げられたデータのチェックをしながら聞く。


「フラットなんです」
「もともとボスはフラットだと思いますけど?」
「振られた後でも、全く変わらずって、反対に変じゃないですか?」
「おまえじゃないんだろ~」
「真剣な関係を築けないケビンに言われたくないです」
「綺麗に踏ん切りがついたんじゃないでしょうか?」


フレッドは処理済みデータを各部へ送信しながらコメントする。


しばらくキーボードをたたく音だけが部屋に響く。