あの男も不器用だったのか? いや、器用だったのか。 愛している女と心が通じていたのだから。 違う、やっぱり不器用だ。 一度も法的な結婚をしなかったのは、たぶん、鞠枝を忘れられなかったからだろう。 似たのは顔だけではなかったらしい。 怜士は皮肉に口をゆがめ、花を投げた。