Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪



言葉を紡ぐために、小さく息を吸う音がする。


「いつ?」
「いま」
「は?」
「これから離陸だ」
「ああ、そうだよね。
 亡くなったんだもんね。
 見送りぐらい、したかったんだけど」


ためらいがちなのに、怜士は口の端で笑う。


「見送りは、いらない」


見送りなんて望まない。


望んだのは、今この隣にいることだった。


怜士の強い口調に麗華が口をつぐむ。


「じゃあ。
 元気で」


未練を断ち切るように怜士は通話を切った。