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真夜中に帰宅すると、自宅のリビングのドアを開けて、固まった。


久しく用心を怠っていた。


リビングのソファーとアームチェアには、それぞれ同じ顔の男が座っていた。


「ハッロー」


たぶん、ハンガリー系だと思われる男は陽気に挨拶をした。


静かにドアを閉めると、怜士はもう一つの空いているアームチェアに腰を下ろした。


「自己紹介をしよう」


ハンガリー男は陽気に続ける。


「僕はゴットフリートだ。
 こっちはクリストファー」


寡黙な印象の男を指差した。


「初めまして」


怜士は視線を動かしただけで返答はしなかった。