「どうした? ん?」 怜士が言葉を発すると、押し付けられて胸から振動が伝わってくる。 「なんでもない。 大丈夫」 「なんでもなくないでしょ。 言ってごらん」 あなたは親ですか、と言いたくなる。 無言の麗華に怜士はため息をついた。 「言葉が悪かった。 謝る。 あなたの両親に、早くその手の挨拶をしたいと思っていたから、いい機会と思っただけ。 あなたの価値について、本気でそう思っているわけじゃない」 温かみに包まれ、あやすような声に尖った気持ちが丸くなってくる。