「あなた、本当にあの後、かわいいのに。
子犬みたいで」
「今泉、それほめてないから!
ってか、忘れて。
全部忘れて。
なかったことにして」
麗華が顔を真っ赤にして必死に打ち消すのを、怜士は見事にスルーした。
「何度も言っているけど、今泉じゃないから。
いい加減、名前で呼んだら?
知らないわけじゃないでしょ」
「そこじゃない」
「最中は、あんなに素直に呼んでいるのになあ」
「あーっ。
もう最悪」
両手で耳をふさいでいる。
いつも男っぽくさばさばした風を装っているのが剥がれ、全力で恥ずかしがっている。
怜士がくつくつと笑うと、ぐっとにらまれた。

