「先生になったお祝いの話? あの花で十分って言ったよね?」 「そうだね」 だとしても、この鎮座している指輪は、およそ就職祝いには見えないのだが。 怜士がくつくつ笑い出した。 「冗談」 麗華の手から箱を取り上げた。 「そうだよね」 麗華も笑いを浮かべ、出たままの手をテーブルの下に引こうとしたら、取られた。 「冗談なのは、先生になったお祝いの方。 これはここ」 箱から指輪を取ると、掴んでいる左手の薬指に滑らせた。